2013年に出版されたSCRUM BOOT CAMP THE BOOKが7年経った今年に第2版となったので買って読みました。 出版された頃の私は、スクラムを始めたばかりで、どういう文献や書籍があるのかわからないで、ただただ試行錯誤で試していました。 一通り読んで、あの頃の自分が読んでいたら良かったと思える本だと思い、良い意味で読んで悔しい気持ちになりました。

マンガが良い

この本では、解説や著者らの経験から出てきた実践的な知見がまとめられているというわけではなく、架空のチームの話をマンガで載せています。 このマンガは、主人公(?)のボクくんがスクラムマスターとして、スクラムを導入するチームの中でファーストリリースまでの物語が描かれています。 この物語を通じて、スクラムの個々のイベントだけではなく、スクラムチームが開発を進めていく中で直面するであろう問題について知ることができます。 これから始めるチームにとってはこれから自分たちに起こりそうなことを予め知ることができます。 また、ある程度スクラムを続けてきたチームであれば過去の経験と照らし合わせて振り返ることができるのではないでしょうか。

各章の冒頭がマンガになっていて、その章で話されることに関連する展開があります。 小難しい活字ばかりの本よりも、とっつきやすくて読みやすかったです。

キャラが良い

マンガに登場するチームは、架空ですがとても良いチームなんです。

  • チームが直面する問題に悩みつつもポジティブに取り組むスクラムマスターのボクくん。
  • 開発チームを尊重しながらプロダクトのことを一生懸命に考えるプロダクトオーナーのキミちゃん。
  • 活発に意見を出し合う開発チーム。

と理想的な振る舞いを見せてくれています。 とはいえ、やはり初めて取り組むのでありがちな失敗をしてしまうところに親近感が湧きます。 理想的すぎて遠い存在ではなく、少し先にいる先輩たちのように見えるのではないでしょうか。

また、この物語にはステークホルダーの姿も描かれています。 社内で初めてスクラムを取り入れたチームを見守る開発部長、そして社内だけどお客さんでもある営業部長が出てきます。 彼らの振る舞いもまたとても素敵なので、この本はステークホルダーの人たちも読むと良いと思いました。

書いてる人たちが良い

著者の3名のアジャイルコーチだけでなく、コラムを執筆している人たち含めて、実践している人たちによって書かれています。 その実践から得られた経験が元に書かれている、というだけで読む時の意識が変わるのではないでしょうか。 コラムを書いた人たちは、この本の初版を読んだという人たちでもあるので、こういう風に恩返ししている風景もまた良いですよね。

書いている人たちは、アジャイル開発のコミュニティでよく見かける人たちでもあるので、この本をネタにして話すきっかけにすると良いと思います。

おわりに

ということで、読みやすくて良い本なのでこれからスクラムを始める人はチームで読むと良いと思いました。